ベーシックインカムなんて実現しないんじゃね?
最近、日本でベーシックインカムを実現するのなんて、この先1世紀くらい無理なんじゃないかと思うようになった。
30年くらいすれば社会は劇的に変わるから、実現できるって言われてたけど、最近は少なくとも俺が生きている間は無理なんじゃないかって思うようになった。
理由は2つ。
- 格差に対する嫉妬が強烈
- 敵対する既得権益の反発が大きすぎるし多すぎる
1. 格差に対する嫉妬が強烈
格差には2種類あって、機会の格差と結果の格差がある。自由主義社会では前者は是正されるべきだが、後者は自由競争の結果とされ肯定される。
逆に、結果の格差を否定するのは社会主義である*1。
そして基本的にはベーシックインカムは自由主義精神を体現する制度とされている*2。
しかし、日本においては結果の格差について非常に敏感である。
結果の格差に対する嫉妬(エンヴィー)である。ちなみにエンヴィーとジェラシーは区別される。ジェラシーは自分より優れた人に対して憧れを抱き、その人に近づこうと努力する性向であり、エンヴィーは自分より優れた人を引きずりおろそうとする性向である。
そして、日本においてはエンヴィーが強く、ベーシックインカムとまったく相容れない!
総中流意識の悪しき側面であり、"出るくいは打たれる"横並びを強制する社会である。
カルロス・ゴーンが日産で首切りを行って、自身が30億円の報酬を得れば、それがたとえ日産の株主に不利益をこうむらせないための措置であってもゴーンは批判される社会が日本であり、ITベンチャーの社長を全力でたたく社会が日本である。
こんな状況が劇的に改善されるなんて思えない。機会の格差だけじゃなくて、結果の格差も問題視する意見は、年寄りだけじゃなくて、俺と同じくらいの若い世代の意見でも聞かれるから。
2. 敵対する既得権益の反発が大きすぎるし多すぎる
これは日本に限った話ではないが、ベーシックインカムは非常にシンプルで効率が高いために、数多くの既得権益を奪う。
一番分かりやすいのは官僚の既得権益である。天下りや縦割り行政の弊害を見れば官僚制の非合理性については言うまでもなく、仕事の減少に対しては反発する(パーキンソンの法則)*3。ベーシックインカムは無条件に現金で給付するため、関係省庁が非常に少ない。生活保護と違って資力調査も必要なければ、予算をどう配分するかという管轄も必要ない。官僚が権限を振るう場所(既得権益)が減るのだ。
これについては「子供手当て」を思い出すといい。バラマキはお家芸ですが、シンプルなバラマキは官僚は大嫌いなのです。
(参考: 山崎元「子ども手当」で官僚OBは喰えない、私が「子ども手当」を評価する理由官僚にやられ放しの民主党マニュフェスト)
銀行も既得権益を失う。銀行の最も隠された「信用創造」をする余地がなくなる。
(信用創造: 本当の「信用創造」は絶大なパワーを持っている!!、銀行の機能2「信用創造」)
労働組合は一見「労働者の保護」という同じ目的でベーシックインカムに肯定的であると思われる。しかし、それは良心的な労働組合に限られるだろう。ベーシックインカムが実現されると労働組合の役割が一部失われる。良心的でない労働組合は自己保身に走ってベーシックインカムに反対するであろう。
これと同じ理由で自称人権団体やNPOなども既得権益を失うということで反対するかもしれない。
以上、帰省中で暇なので走り書きました。ではノシ
Written by @YMKjp
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